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お茶ができるまで

お茶が出来るまで

お茶の製造工程は、茶の種類によって若干違います。
以下は手もみ煎茶の工程を中心に、その他のお茶や機械製茶を交えて説明します。
茶摘み蒸し露切りころがし中揉み仕上げ揉み乾燥

茶摘み

日本の国土は南北に長く、気候も違うので茶摘みの時期も地域で異なります。

沖縄県では、茶摘みは4月上、中旬頃から行われ、少し北の鹿児島県では4月下旬頃、静岡県でも早いところでは4月下旬からはじまり、5月上旬に最盛期となります。

関東地方や、日本での北限である秋田県や、岩手県地方では、一番茶の茶摘みが6月上旬頃となっており、茶摘み時期が北と南では2ヵ月余りの差があることになります。
茶の摘み方は、手摘みから大正末期に普及した挟摘み、そして最近の機械摘採と変わってきました。 

蒸らし

適採したらなるべく早いうちに、短時間で、むらのないように蒸気を用いて蒸らします。

全体の工程の第一段階ですが、製品の質を基本的に決定する工程でもあります。蒸す時間は煎茶でおよそ40秒前後、玉露の場合にはその半分ほどの時間です。しかし、煎茶より大量の蒸気を用いて行います

。輸出向けが主になる玉緑茶では、輸出先の嗜好もあって煎茶よりもっと長い時間をこの工程にかけます。葉のもつ青臭さ、苦味を製品のうえにどの程度反映させるかによって、この違いは生まれてきます。

機械製茶の場合にもこの原理はそのまま適用されますが、釜炒り茶の場合では蒸すかわりにまず炒る工程をとりますし、紅茶は萎凋といって茶葉を平均にしおらせる工程をとります。

露切り(茶切り)

もみやすくするために水分を蒸発させる作業で、「葉ぶるい」ともいわれます。茶葉を手で握り落としながら、葉の表面のつやが消え、茶にしわが現れるまで 続けます。重量の比率でいえば、約30%減程度とされます。

玉露でも基本は 同じですが、蒸した茶は粘着力が強いので、水分を平均的に蒸発させるのには かなりの熟練が求められます。時間はおよそ40分程度です。現在の機械製茶では、蒸熱からつぎの工程、粗柔は運ばれる過程、および粗柔機の工程で代用される部分です。

回転揉み・ころがし

茶葉に力を加え、水分の蒸発をうながしながら、茶葉の組織、細胞を破壊し、柔らかにする工程です。
はじめ小手で早く揉む軽回転、大手にして力を強くかける重回転、茶葉をねるように、最大の力をかける最後の操作ねり揉みの三つの段階に分けられ、時間はおよそ1時間弱です。
機械製茶では、柔捻機がこの作業をする工程になります。
手揉みでは、この工程でできた茶のかたまりを解く玉解き(横揉みきり)という作業があります。

中揉み

茶によれ形をつける作業で、茶の仕上がりをそろえ、力をこめて茶の水分の圧出を図ります。茶は葉の長さの方向でよれていくようにしなければなりません。

茶葉は、黒緑色に色をかえ、つやと芳香がでてきます。およそ30~40分かかります。

機械製茶では、中柔機や再乾燥による工程がこれに該当します。 

仕上げ揉み(板ずり)

茶の形を整え、香味をよくする作業である。
方法はいろいろありますが、この工程を経て、茶は形と色を整えられます。
20~30分かかります。機械製茶では、精柔機の工程が対応します。 

乾燥

茶を薄く広げ、ときどき反転させて乾かします。
乾燥機が使われます。

<参考資料> 
橋本実 著 『茶の起源を探る』淡交社/斉藤光哉 監修 『お茶の辞典』成美堂出版 
松下智・橋本実・鈴木良雄・南廣子・南久美子 著『Q&Aやさしい茶の科学』淡交社 
『日本のお茶Ⅰ・お茶と生産』株式会社ぎょうせい